贈られた胡蝶蘭の花がすべて落ちて、この鉢はもう終わりなのかと手が止まっていませんか。
お祝いでいただいた鉢だと、なおさら捨てにくいものです。
世界中の珍しい胡蝶蘭を集めている私も、花後の扱いには何度も迷いました。
結論から言うと、花が終わっても株が元気なら、もう一度咲かせられます。
この記事では、二番花を狙う切り方と株を休ませる切り方の違い、そのあとの置き場所や肥料、来年の花芽づくりまでを順に説明します。
花が終わったら、まず花茎の色と株の体力を見ます
花茎が緑か茶色かで、切る位置が変わる
花が落ちたあとの花茎が緑色のままなら、その茎はまだ生きています。
先端が茶色く枯れ込んでいる場合は、枯れた部分だけを切り落とします。
花茎には節という小さな膨らみが並んでいて、ここに眠っている芽が動くと、二番花が伸びてきます。
節の見分け方は、AOS(米国蘭協会)のQ&Aが分かりやすいです。
まだ使っていない節は、三角形の小さな苞葉(ほうよう)が茎にぴったり付いています。
使い終わった節は、苞葉が外に張り出していて、そこから先の成長は見込めません。
葉と根の状態で、二番花に挑むかを決める
二番花は咲く楽しみがある一方で、株にはかなりの負担がかかります。
AOSも、二番花は最初の花より小さく弱くなりやすいと注意していて、試すのは健康で十分に強い株だけにするよう勧めています。
私が花後に見ているのは、次のようなところです。
- 葉が大きく、しっかりしていて、枚数も十分にある
- 葉が垂れたり、しわが寄ったりしていない
- 根が黒く傷んでいない(ここは私の経験からの見立てです)
私自身は、いただいた鉢の最初の1回だけ二番花を狙い、そのあとは株を休ませることが多いです。
毎回咲かせようとすると、翌年の花が細くなる印象があります。
花茎の切り方は二通りあります
二番花を狙うなら、節を2〜3つ残して切る
NHK出版のみんなの趣味の園芸によると、花茎についた蕾の半分ほどが咲き終わったら切ります。
株が大きくてしっかりした葉があれば、下から2〜3節を残して切ると、残した節から花芽が伸びてくるそうです。
JAあいち知多の栽培ガイドにも根元の2〜3節を残す方法が載っていて、2〜3か月後にもう一度花が楽しめるとあります。
切る位置は、残す一番上の節のすぐ上で、枯れて茶色くなった部分よりは下です。
切り口を斜めにすると水がたまりにくく、傷みにくいと言われます。
ハサミはアルコールで拭いた清潔なものを使ってください。
二番花が出てこないときは根元から切り直す
節を残せば必ず芽が動くわけではありません。
JAあいち知多の資料が2〜3か月後を目安にしているので、私はそのくらい待ちます。
それでも新しい芽が見えず、花茎が茶色く枯れ込んできたら、根元から切り直しています。
枯れかけた花茎を残しておくと、株の養分がそちらに取られてしまう気がするからです。
これはあくまで私の運用で、出典に書かれた決まりではありません。
早めに切り直しても、株が弱るわけではないので、迷ったら根元から切って大丈夫です。
株を休ませるなら、根元近くで切る
葉が少ない株や、葉が垂れて弱っている株は、花茎を付け根から切って養生させます。
AOSも、使っていない節が残っていないときは、できるだけ根元に近い位置で切るよう案内しています。
根元から切ると、次の花茎は新しく出直しになります。
開花まではその分だけ時間がかかりますが、株の力を葉と根に回せるので、翌年以降の花が安定しやすくなります。
二つの切り方の違い
| 二番花を狙う | 株を休ませる | |
|---|---|---|
| 切る位置 | 下から2〜3節を残し、その上で切る | 花茎の付け根 |
| 向いている株 | 葉が大きくしっかりした株 | 葉が少ない、または弱った株 |
| 次の花 | 2〜3か月後に花茎が伸びることがある | 時間はかかるが、株の回復を優先できる |
| 気をつけたい点 | 株への負担が大きく、花は小さめになりやすい | 目に見える楽しみは当面ない |
切ったあとの置き場所・水やり・肥料
置き場所は明るい日陰で、冬は室温に気をつける
切ったあとの置き場所は、直射日光の当たらない明るい場所です。
みんなの趣味の園芸では、春から秋は戸外で管理し、夏は40〜50%の遮光をするよう案内しています。
冬は室内の暖かい場所に移し、18℃以上を好むとされています。
JAあいち知多の資料は、10月から翌年5月まで室内に置き、最低温度は10℃を保つよう書いています。
18℃と10℃で数字に差がありますが、10℃は下回らせてはいけない最低ラインで、できれば18℃前後を目指す、と私は読んでいます。
冬の夜に窓際で冷え込む家では、鉢を部屋の中央へ動かすだけでも違います。
水やりと肥料は、季節と乾き具合に合わせる
花後の水やりと肥料は、次のように整理できます。
- 水やりは、植え込み材料がやや乾いてから、たっぷり与える
- 夏は多め、冬は少なめにする
- 肥料は成長期の春から秋に限り、冬は与えない
肥料の頻度は、資料によって幅があります。
みんなの趣味の園芸は、5月上旬に緩効性の肥料を置き、9月下旬まで週1回の液体肥料を勧めています。
JAあいち知多は、4〜9月に規定の2倍に薄めた液肥を月2回としています。
どちらが正解というより、株の様子を見ながら薄めに始めるのが安全だと思います。
葉に勢いが出てきたら、少しずつ回数を増やしてみてください。
来年また咲かせるための花芽づくりと植え替え
花芽は18℃前後の涼しさがきっかけになる
胡蝶蘭は、暖かければ咲くわけではありません。
蘭専門店のらんや TIMESによると、花芽は18℃くらいで作られ、最低気温18℃の環境に20〜40日ほど置くと花芽をつけはじめるそうです。
大型の胡蝶蘭で約40日、中型で約20日が目安とされています。
花芽がついたあとも、最低15℃以上を保つことが大切です。
気温が低いと、花芽ができても咲かないことがあります。
花芽ができてから開花までは、2〜3か月かかります。
一年中同じ暖かさの部屋に置いていると、この涼しさのきっかけがなくなってしまうのではと、私は考えています。
秋は夜の気温が少し下がってくる時期なので、冷え込みすぎない範囲で、涼しさに当てる期間をつくるようにしています。
植え替えは5〜6月の暖かい時期に
翌年も咲かせるなら、植え替えも欠かせません。
みんなの趣味の園芸では、頻度は2年に1回程度で、適期は5月上旬から6月下旬です。
JAあいち知多は、最低気温が15℃以上になる5〜7月としています。
- 適期は5〜6月で、最低気温が安定して15℃を超えるころ
- 頻度は2年に1回程度
- 寒い時期の植え替えは避ける
花が終わったのが冬なら、切るだけにして、植え替えは春を待ちます。
根を傷めやすい季節に無理をさせないことが、翌年の花につながります。
一年の流れをまとめて確認する
ここまでの内容を、季節ごとの作業に並べ直しました。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 花後すぐ | 葉と根を見て、花茎を切る位置を決める |
| 5〜6月 | 植え替え(2年に1回程度)を行い、肥料を始める |
| 夏 | 直射日光を避けて遮光し、水やりはやや多めにする |
| 秋 | 夜の涼しさに当てて花芽をつくり、肥料は9月下旬までにする |
| 冬 | 室内で最低10℃を保ち、水やりは控えめにする。花芽が見えたら15℃以上を保つ |
まとめ
胡蝶蘭の花が終わったら、まず花茎の色と、葉や根の元気さを見てください。
葉がしっかりした株なら、下から2〜3節を残して二番花を狙えます。
葉が少なく弱っている株は、根元から切って休ませるほうが、長い目で見て安心です。
切ったあとは、明るい日陰で冬の冷え込みを避け、成長期にだけ薄めの肥料を与えます。
秋に涼しさで花芽をつくり、5〜6月に植え替える。
この流れをひと回しすれば、手元の一鉢に、また花が戻ってきます。
私も、花が落ちた鉢の前で何度も悩んだ一人です。
焦らず、この一鉢と一緒に次の季節を待ってみましょう。